2010年02月06日

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』


「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(岩崎夏海/ダイヤモンド社/2009年12月刊/1,680円)


 今日、届いた本。1ヶ月で4刷りという人気経済青春小説(?)。題名どおり、弱小都立高校野球部の女子マネージャーが、ドラッカーの組織論でもある『マネジメント』を参考に、チームの改革に挑み、選手の意識を変え、そして、念願の甲子園をめざす……という物語で、読みはじめたら止まらなくなり、3時間ほどで一気読みとなった。

 ドラマは予定調和でベタではあるけれど、読んでいるうちにどこからか、オペラ『カルメン』の主題曲が……。『カルメン』の主題曲は、野球映画の傑作『がんばれベアーズ』のテーマ曲にもなっていて、聴いていると実に元気が湧いてくる。この曲が消えてきたのは、どこかで『がんばれベアーズ』を思い浮かべていたからだろう。それくらい面白かったということだ。

 それにつけても野球映画には『がんばれベアーズ』のほか、『ナチュラル』だの『フィールド・オブ・ドリームス』だの『春の椿事』(『ドラえもん』的傑作SF野球コメディー映画)だの『ダイナマイトどんどん』(岡本喜八・監督作品。すがやみつるマンガ化(笑))だのと、いろいろ傑作があります。

「もしも女子高生が~」は、つくりも内容もライトノベル風で、ストーリーも予想通りに展開するが、もともと野球がドラマチックな要素を持っていることもあって、最後はドンと盛り上がる。そのときになると、ドラッカーの言葉など、もうどこかに消し飛んでいるのだが、クライマックスになって、少し「視点」が入り乱れ、興を削がれたのが、ちと惜しかったかも。

 同じダイヤモンド社から出ているファシリテーションを題材にした小説『ザ・ファシリテーター』(森時彦/ダイヤモンド社/2004年11月刊/1,680円)にも、やはり同じような「視点のゆらぎ」があって気になったが、こんなことが気になるのは、その「小説の視点」のことをマンガで解説した『マンガでわかる小説入門』(すがやみつる・構成/横山えいじ・作画/ダイヤモンド社/2005年10月刊/1,500円)の作者だからかもしれない。それにしても、今日のブログは、ダイヤモンド社の本ばかりだなあ(笑)。

 視点のことが少し気になったけれど、この小説は、作りがきわめて映像的で(シナリオのようでもあって)、マンガやテレビドラマ、あるいは映画に向いているのではないか。著者も、小説というよりも、映像作品の脚本を書いているようなつもりで、この作品を書いたのではないかと思う。マンガにするのなら、年齢層をリトルリーグあたりにして、小学館から創刊される学習マンガ専門誌「GAKUMAN」あたりで連載するのも「あり」そうだ。小学生にドラッカーを説く方が、インパクトも強くなりそうな気がする。


Posted by すがやみつる/菅谷充 at 05:08 Comments(0)TrackBack(0)本/雑誌

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