2010年02月17日

読書:『日本辺境論』(内田樹)

『日本辺境論 (新潮新書)』『日本辺境論 (新潮新書)』(内田樹/新潮社・新潮新書/2009年11月刊/714円)

 ただいまベストセラー街道驀進中の本。戦記小説など書いていると、どうしても太平洋戦争が開始された原因や理由などを知りたくなるのが人情ってものだが、でも、日中戦争のあたりも含めて、なんだかずるするとなし崩しに戦争になってしまった感じで、始まったら始まったで、どうやって決着をつけるのかといったグランドデザインなんてものもない。こんなところが日本に住んでいる日本人でさえわからないのだから、海外の人たちには、もっとわからないのかもしれない。

 それでも日本人は、懲りずに『菊と刀』や『菊とバット』(ン?)、『素晴らしい日本野球』(ン?)なんて日本人論を読み継いで、日本人について理解しようとつとめてきた。

『日本辺境論』も、そんな日本論・日本人論の1冊だが、この本で最も共感したのは、次の文章。

「学ぶ力」とは「先駆的に知る力」のことです。自分にとってそれが死活的に重要であることをいかなる論拠によっても証明できないにもかかわらず確信できる力のことです。「いいこと」の一覧表を示されなければ学ぶ気が起こらない、報酬の確証が与えられなければ学ぶ気が起こらないという子どもがいたら、その子どもにおいてはこの「先駆的に知る力」は衰微しているということになります。

 いま大学院で教育工学という分野を専攻していることもあり、「学ぶ力」については絶えず考えているが、まさしく、このとおりだと思う。言葉を変えれば、人間にとって「学ぶ力」は、環境の中で生き抜き、進化するための動因であり、アフォーダンスを感知する本能でもあるのではなかろうか。

 なぜ日本人がマンガをスンナリと理解できるのかも説明されていて、なるほどな……とは思いつつも、でも、このあたりは、やっぱり実験で確認したいよな……と思うのが、教育工学や認知心理学をかじっているマンガ家大学院生のホンネかな。

■参考文献(本気で参考にしないこと)

『菊と刀 (光文社古典新訳文庫)』 『菊とバット〔完全版〕』

『素晴らしい日本野球 (新潮文庫)』(W.C.フラナガン・著/小林信彦・訳/新潮文庫/1987年7月刊)

Posted by すがやみつる/菅谷充 at 15:41 │本/雑誌
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